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<​審査員総評>

海老川上流地区「夢プラン」プロジェクト

嘉田
Waiting Room
色あせたシェイプ

嘉田由紀子

参議院議員

​前滋賀県知事

プール

近藤昭彦

千葉大学名誉教授

「生物多様性ふなばし戦略」初代座長

グラデーションレッドイエロー

河野博子

ジャーナリスト

​元読売新聞編集委員

嘉田
 大変難しい採点でした。それぞれに考えぬいて、アイディアを絵と言葉にしてまとめてくださった12名の応募者の皆さんのご努力に感謝いたします。5つの視点から見て、苦しみながら、同時に楽しみながら、点数を入れさせていただきました。

 結果的には安田さんが21点、長さんが19点の高得点でした。安田さんの「船橋の
ノアの方舟」アイディアは、単なる貯水ではなく、貯水をしながら、動物の進化や生存条件を歴史的に考える場として秀逸だと思います。「水と一緒に生きてきた船橋」の地名に込められた船の意味が、示唆的です。ここに、山田さんの「縄文の再現」と合体して、「縄文の船橋」の湿地公園に展開すると楽しいですね。

 長さんの「アグリ・クール」も名付けがいいですね。クール(かっこいい農業)という意味と、温暖化が進む中で、自然の価値を高め、クーリング施設として、水害からの避難だけでなく、極暑からの避難もできる。再生可能エネルギーの循環も入れ込んでいる。安田さんのノアの方舟アイディアと、山田さんの縄文の海と繋げることも可能ですね。

 今後、皆さんが集まって、実際のアイディアをぶつけ合える場所が作れるといいですね。

 企画から取りまとめの労をとってくださった企画者に感謝です。
近藤
 応募者のみなさんには楽しい夢を語っていただき、楽しいひとときを過ごすことができました。夢は希望につながります。

 たくさんの素晴らしいアイデアを頂きましたが、大切な観点に“こども”があると思います。こどもが水辺で遊ぶことは未来につながる自然観を醸成することになります。
 湿地や水辺を眺めることができるフリースクールもわくわくします。カフェ、マーケット、直売所というアイデアは“人が集まる”ことから、コミュニティーの形成につながるのではないでしょうか。
​ 
 船橋は個人で暮らしが楽しめる都市域でもありますが、災害時には強い連帯が必要になるのも都市域です。災害に関しては水害だけでなく、都市域の高温化、すなわちヒートアイランド、といったハザードの緩和を意識したアイデアも大切だと思いました。暮らしやすい街づくりが様々な問題を同時に解決することになるのではないでしょうか。

​ 夢というのは妄想と違い、実現が前提であり、実現のために今どうするかという態度につながります。大きな夢を持ってほしいと思います。
河野
 作品を提出した12人のうち5人が60~70代。海老川上流地区に夢のような空間を描いた作品には、湿地や田んぼで昆虫や魚を追いかけ、サギやカモがいる水辺に親しんだ経験が浸みだしている。地区全体をコウノトリの里にする案もあった。私は船橋市にコウノトリが飛来した記録を見つけることができなかったが、すでに野田市などで繁殖に成功し、放鳥を重ねているので、「実現可能な夢」といえる。
 
 応募者の世代が少し下になると、近くの貝塚などと関連づけ、縄文時代の地形や地質を説明して「縄文ロマン」をかきたてたり、地区の真ん中に「ノアの箱舟」を据えて中に小動物に親しめるコーナーを作ったりなど、地域全体の活性化につながる魅力を盛り込んだアイディアが光った。ともすれば超高層ビルありきの都市・公園計画に漂う閉塞感を突き破るパワーが感じられた。「調節池」の上に高床式のテラスを設ける案は、現在の国―県の基準では想定外と思われる。だが、今後はそうした構想もありではないか、と考えさせられた。

 一方、スポーツスタジアムを導入する案は2つあった。地区全体の中で大きな面積をコンクリートの構造物が占める計画は、もとの湿地や田んぼの良さを生かせないし、軟弱地盤への建設という課題をクリアできるのか懸念があるため、評価点は低くなった。
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