下流軽視の河川工事
海老川上流地区の開発を優先するあまり、下流の安全を軽視した工事計画になっています
(計画は2021年10月、県・河川整備課、および葛南土木事務所に取材)。
以下に洪水のリスクが高まる理由を示します。
現状(2022年2月現在)
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二級河川の海老川、飯山満川の排水能力は、ともに1時間30ミリの雨量を安全に流下させる程度(以下、1時間〇ミリの排水能力と表現)。
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特に海老川下流は市街化の影響でこれ以上拡幅できず、海底より深くなるので深さも出せない。
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洪水を防ぐ施設「海老川調節池」は、まだ用地の取得も済んでいない(取得率95%)。
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1時間100ミリの雨が降る時代、そもそも洪水のリスクを抱えているといえる。
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それでも下流がギリギリ溢れないですんできたのは、豪雨の時は海老川上流地区が遊水地として機能していたから。
土地開発後(2026年ごろのイメージ)
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海老川上流地区とその周辺開発により(盛り土、コンクリート化)、大量の水が河川に流れ込む。そのため、受け皿として飯山満川を1時間50ミリの排水能力をもつ川に改修する(川筋真っ直ぐ、広く、深く)。
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洪水を防ぐ施設「海老川調節池」はまだ30年以上もの間存在しない(着工後約30年で完成)。
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海老川下流は将来にわたって1時間30ミリの排水能力のまま。
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海老川上流は海老川調節池の着工が決まったら、1時間50ミリの排水能力をもつ川に改修する。
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「下流の排水能力が低いのに上流の排水能力を上げるのは、決してやってはいけないこと。漏斗型になって、必ず洪水が起きるから」と県・河川整備課。しかし海老川下流が1時間30ミリの排水能力なのに、飯山満川の排水能力を1時間50ミリに改修する。
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それでも安全という県の理由は、「海老川との合流点で飯山満川の水量を絞るから、海老川に流れ込む水量は増えない」。
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それは平常時のこと。1時間50ミリを超える豪雨の時はどうするのか。
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「海老川調節池で洪水を防ぎます」(県)。でもその調節池はまだ30年以上完成しない。