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嘉田議員の市川真間川の視察に同行


 令和6年7月4日、参議院議員の嘉田由紀子氏による市川市の真間川視察に同行しました。


 昭和30年代から50年代の高度成長期、急激な都市化によって水害が多発した市川の真間川と船橋の海老川。都市型水害の典型として全国的に有名になった両河川は、それぞれ市民と行政(県・市)が一緒になって治水対策に邁進し、水害を克服した歴史をもっています。(海老川での治水の物語は「長津川調節池をつくった男たち」という動画にしてありますので、ぜひご覧ください。 リンクはこちら


 ところがそのあと安心したのか、船橋市ではめぼしい河川改修は行われず、海老川は未だに1時間30ミリの雨にしか耐えられない設計のまま。一方真間川では治水の努力が続き、すでに3つめの調節池の整備に着手しています。これが完成すると、真間川は1時間50ミリの雨まで耐えられるようになると言われています。さらに真間川ではその調節池を完全自然系で整備し、生物多様性を守る拠点としています。(私たちは今年の4月に「市川の流域治水に学ぶ」セミナーも開催しました。よかったらそのチラシもご覧ください。こちら)


 このように真間川水系で治水と自然保護を合体させた先進的な取り組みが続いているのはなぜなのでしょう。その秘密は治水への継続的な住民参加です。木を切って川幅を広げ、コンクリート護岸で固めるというような河川整備計画に対して、市民が「排水路みたいな川は嫌だ」「地域の文化や自然を残す川にして」「調節池は完全自然系に!」と粘り強く県や市と交渉してきたからなのです。

 「気がついたら、もう40年も続けているのよ」と市民運動の中心になってきた「真間川の桜並木を守る市民の会」代表の鳥居雪子さんは笑います。はじめは(特に)県の職員たちと激しく意見を闘わせたと言いますが、その後は市の職員や河川計画に関わるコンサルタントも加えた住民参加の話し合いの場を作り上げました。それが今でも続いていることが、市川を治水の先進地にしてきた秘密なのです。とはいえ、いったいどうやってそれができたのか、また継続しているのか、具体的なことはほとんど知られていません。


 これまで河川行政と住民は対立するか、あるいは行政の河川整備にお任せしっぱなし、というのが定番でした。けれども、現在国が推進している「流域治水」では治水への住民参加が重要な要素になっています。市川がどうやってそれを実現して継続させているのかは「流域治水」の成功をうらなう上でも知っておきたいところです。

 おそらく同じように思われたのでしょう。嘉田由紀子参議院議員がぜひ住民の話を聞きたいと真間川に視察にいらっしゃることになったのです。嘉田議員は滋賀県知事時代に、全国に先駆けて「流域治水」を条例に落とし込み、滋賀県を治水の先進地にした方で、「流域治水の母」と呼ばれています。現在は国会議員として、国の流域治水政策を成功させようと努力されています。



 視察は真間川の整備状況を視察することから始まりましたが、海老川と違って河畔だけでなく川の中にも土や自然が残されており、ナント沢蟹まで見ることができました。文化的な香りがする風情ある河畔の佇まいがうらやましかった! 

 そのあと大柏川第一調節池を訪れ、大きく広がる調節池を前に、そよ風に吹かれながら設計に関わった人たちの話や、維持管理に汗を流している市民の話などに耳を傾けました。そして最後に大野公民館で鳥居さんのお話を聞き、名残惜しく市川を出発。

 

大柏川第一調節池


実は市川のあと、以前から気にかけて下さっているメディカルタウン事業の現状を見て頂こうと、嘉田議員を海老川上流地区にお連れしました。都市政策課に連絡していたせいで、都市計画部長ほか都市政策課や下水道河川整備課、新病院建設室の職員ら8人ほどが対応に来て下さっていました。ただ1時間の滞在の間、話はメディカルタウン事業よりも全国の水害の話や流域治水の取り組みが中心となりました。でも船橋市の職員たちには、そうした他の自治体での被害や災害対策を聞くことは有益だったと思います。


 

 さて、市川でなぜ官民協働の治水ができあがったのか。その秘密は「人間関係の構築」ではないかと私は思っています。住民が治水について勉強し、行政の考え方を理解しながらも自分たちが望む川の姿、街の姿をしっかりと伝える。そして夜の打ち合わせのあとはみんなで住民手作りのご飯を食べる・・・。そんな付き合いの中で、職員も次第に市川の皆さんが望む地域の姿を受け入れられるようになったのではないでしょうか。

 嘉田議員がどのように思われたのか、いずれうかがってみたいと思っています。


江川


 

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