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疑問続出。やり直しシミュレーションの結果説明会 1(治水) 

更新日:2022年9月22日



 2回目のシミュレーションの結果について、市による説明会が行われた。8/19(金)、20(土)、21(日)にわたり計6回。今回も参加者は多いとは言えず、市によると参加者の延べ人数は115人だったという。「広報ふなばし」で告知が行われたのは8/15。開催のわずか4日前。告知スペースも相変わらず小さく、流域自治会への連絡はまたしても行われなかった。


 今回はシミュレーションのやり直しを提案した県からも約10人注)が参加した。しかし事業主である組合や、工事を請け負っている㈱フジタからの出席者はなし。市は「シミュレーションは市が行ったものなので彼らは必要ない」と説明。このため、工事に関する質問にも市の職員が回答したが、当事者ではない彼らの言葉を信じて良いのだろうか。本来は㈱フジタが答えるべきであった。このように、事業主である組合と㈱フジタを出したがらない市の姿勢には、毎回疑問をもたざるを得ない。


 当会はメンバーが手分けをして6回すべてに参加し、参加者の声を記録した。毎回シミュレーションの条件や結果について多くの質問が出されたが、後述するように、「事業は安全というシミュレーションの結果には納得できない」という声しか聞かれなかった。けれども市は「県の都市計画審議会で意見された【安全性の検証】と【市民への説明】は行ったため、組合が工事を始めることは止められない」と述べ、参加者の不安と不満を一蹴した。


 参加者からは「問題解決のための話し合いを」という提案が複数出された。市と市民と組合、またそれに県を加えた「当事者」によって、情報を共有し、互いを理解し、より良い解決をめざすべきだという意見である。市と県には、ぜひこれを実現して頂きたい。


注)都市整備局都市計画課、河川整備課、葛南土木事務所など





主な問題点(参加者の懸念と解説)

治水について


● 今回検証条件に入れた県の工事は、いつ行われるのか

 

 シミュレーションの最大の問題点は、県が実施予定という2つの治水工事(海老川調節池の暫定掘削と海老川下流の河床掘削)を検証条件に入れ、「だから事業をしても安全(浸水深は概ね減少する)」と結論付けたこと。

 しかしこれらの工事について県は、「市にはできるだけ協力するが、整備がいつ始まり、予定通り完了するかどうかは、はっきり言えない」と述べた。また県は河川整備と今回の事業はリンクしていないと明言し、もし県の他地域で大きな被害が出た場合、海老川が後回しになる可能性があるうえ、整備が順調に進んでも完了は12年以上先ということが明らかになった。

 この不確定な未来予想図をもとに「安全」と言われても納得はできないという市民が続出。「それまではどうするのか。河川整備が完了してから事業が行われるべきではないのか」→【市の回答】宅地造成は、まず調整池を掘ることから始めるので影響はないと考えている。


● 現状を反映した検証になっていない


 今回のシミュレーションの手法は、事業後のハザードマップを作り、令和元年に発行されたハザードマップと比べるというもの。事業地内の地形の改変(宅地造成や調整池)の影響を見るために、事業地外の地形や川の流量などの条件は同じにしている。

 事業が治水に与える影響を知りたいのなら、県の河川整備を含まないこの比較が示されるべき。→【市】これを入れるように県から提案を受けてやり直したもの。


 シミュレーションに使われたデータは令和元年のハザードマップ作成に使われた平成22~27年のもの。10年近く前のデータで、近年急速に進んでいる支流沿いの市街化の影響は無視されている。けれども他の河川では市街化による流量の変化をアップデートしていなかったために洪水になっている例がある。海老川への水の流入を増やす市街化の変化を反映できないシミュレーションの手法は疑問であり、その結果も現実的ではない。現実を反映できる手法でシミュレーションをやり直してほしい。→【市】国の指針に基づいて行っている。


 ハザードマップを比べる手法を選んだのは市。県の都市計画審議会では埋め立てで失われる遊水量がどれくらいで、それがどうなるのか調べるように言われたはず。


● 内水氾濫が含まれていない


 海老川下流域での浸水被害の多くは、下水道などから溢れる内水氾濫によるもの。これを考慮しないシミュレーションで「安全」と言われても納得できない。


● 現在の浸水を容認している


 シミュレーションでは、一番降雨量の少ないパターンでも浸水被害が出ている。内水氾濫を考えれば、実際にはもっと大きな浸水が起きると考えてよい。今回のシミュレーションは「今と比べてどうなるか」を調べ「浸水深は少し減るから事業をしても大丈夫」と結論付けるが、これは現在の浸水を容認すること。まずは現在の浸水状況を改善してほしい。

 これからは想像を超えるような豪雨が増えると予想されている。行政が考えるべきなのは、市街化の抑制、遊水地の確保などの「今より浸水被害を減らす方策」だろう。海老川上流地区は全面埋め立てるのではなく、遊水機能を残す開発にするよう指導するべきではないのか。→【市】洪水は起きるのが前提。ハード(堤防や下水道など)では防げない雨が降る。ハザードマップを配布しているので、自身で避難を考えてほしい。市も避難所の準備をするなどの対策をしている。




このほかの声(すべては記載できないことをご了承ください)

被害が出た場合には誰が責任を取るのか。→ 市は「組合」と明言するも、別の回では「ケースバイケース」と述べるなど迷走。


被害が大きくなる区域もある。そんな事業をさせること自体が問題。被害を受ける人たちには説明しているのか。組合と協議するというが、損失補償なのか計画変更なのか。→【市】まだわからない。そこまでひどいことにはならないと考えている。


浸水被害がひどくなるということは、被害に遭う市民の財産権の侵害にあたる。憲法違反ではないのか。→【市】適法にやっていると考えている。


埋立てで潰してしまう遊水量は30万㎥以上と聞いている。それを5.3万㎥の調整池と3.5万㎥の海老川調節池の暫定掘削で補えるとは思えない。河床1mの掘削の効果もどれほどあるのかデータが示されていない。


海老川は1時間30ミリ対応。下水道は1時間50ミリ対応。1時間に100ミリの雨が降るというのに、足りないのではないか。過去ではなく、今後の予測に基づいて対策をしてほしい。→【県】海老川は1時間50ミリ対応にすることを目指している。川自体は河床の掘削によって、海老川調節池は試験掘削を始めている。


海老川調節池の予定容量は55万㎥だと言うが、それには4mは掘らなければいけないのではないか。あんなに水が上がる土地でそんなに掘れるのか。→【県】確かにむずかしい。試験施工しながら工法を考える。ポンプも必要になる。


海老川の堤防も飯山満川との合流点の管もできてからずいぶん経つ。劣化はしていないのか。強度は十分にあるのか。→【市】十分強度はあると認識している。


想定雨量の根拠がわからない。どういう降り方を想定しているのかもわからない。→【市】国のマニュアルに基づいてやっている。


なぜ盛り土で全面埋め立てることにこだわるのか。もっと安全な計画に改めればいいのではないか。→【市】事業主の組合の計画なので。


海老川調節池は45年以上も整備されずにいる。今度はほんの一部を12年後に整備するというが、どこまで信用できるのか。完成までいつまで待たせる気か。本気でやってくれ。


どう見ても不安な説明だが、市も県も、本当にこの事業が安全だと思っているのか。親や子を住まわせたいと思うか? 無責任ではないか?







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