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海老川調節池は治水の救世主か?


 海老川調節池の整備が計画されたのは昭和51年(1976年)。1時間30ミリの雨にしか対応できない海老川本川が、1時間50ミリにまで耐えられるようするために計画された。ところがそれから46年が経過した今も、予定地には手が付けられていない。


 2021年秋から今年1月末にかけて当会と複数の市議会議員が県の葛南土木事務所に問い合わせたところ、未着工の理由は二つ。ひとつは用地の買収に時間がかかったこと、もうひとつは、ここが水の出やすい土地で、難工事が予想されるからというものだった。


 海老川調節池の予定容量は55万㎥。この容量を確保するには3mは掘らねばならないが、①どうやって遮水するか ②軟弱地盤で3mの深さを維持するにはどうしたらいいか、その工法がまだ決まっていないというのだ。現地を視察した複数の元建設省の技官は、「水がどんどん出て、3m掘るのは難しいのではないか」と懸念を示している。つまり55万㎥の容量を確保することさえ難しそうなのである。


 このため、用地買収は現在95%まで済んでいるものの、調整池が完成するのはまだ30年以上先ではないかという(今年1月時点での回答)。


 しかし市はやり直しのシミュレーションの条件に、この海老川調節池の暫定供用(部分供用)を入れた。県がメディカルタウンが完成する令和34年頃までに、暫定供用できるように努力すると言ったからだという。しかし12年後に本当に暫定供用(一部運用)ができるのだろうか。「暫定」とはどの程度の規模だろうか。


 忘れてはならないのは、海老川調節池の整備は県の仕事だということである。今回の県の提案も、あくまで努力目標であって約束ではない。県の他の地域で災害が起きれば、予算がそちらに回される可能性は十分にある。


 また、この海老川調節池はあくまでも海老川下流域を洪水から守るために計画されているものだということを改めて強調したい。メディカルタウンから出る水を受けるために計画されたものではないのだ。


 市は海老川調節池を、あたかも船橋市の治水の救世主のように語り、メディカルタウンと結びつけて事業の安全性を主張するが、それが的外れな希望的観測に過ぎないことははっきりしている。



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