昨年市が行った洪水シミュレーションについて。続きです。
市は、土地区画整理事業地内の造成工事の前後で浸水深がどう変わるのか、既存のハザードマップと比較するという手法を取りました。
その比較結果は5月に発表される予定でしたが、急遽県の河川工事が加えられてシミュレーションがやり直されました。そして、土地区画整理事業の影響だけを見る第一回目のシミュレーション結果は市民に知らされないまま、8月に工事が開始されたのです。
以下は、昨年5月に発表予定だったと思われる、この第一回目のシミュレーション結果です。想定最大規模の雨ではなく、計画規模の降雨の時の比較図です。
この図によると、計画規模の雨(1時間70ミリ)の時、事業地周辺だけでなく海老川下流域まで浸水深が増加しており(赤い部分)、下流域で浸水深が減っている所(青い部分)もありません。
拡大してじっくりご覧ください。
つまり「土地区画整理事業によって浸水深はおおむね減少する」ということはなく、
「土地区画整理事業によって流域全体で浸水深が増す」という結果であったことがわかります。これは河川工学の専門家たちが言うとおりの結果です。
これでは工事は始めさせられません。
だから市は、県の河川工事を入れてシミュレーションをやり直したのです。そして県もその裏工作に加担した、というわけです。
この図は市が一番知られたくない図であると思いますが、これでさえ、本当のシミュレーション結果であったかどうか疑問が残ります。(関連記事 文春オンライン)
最後に、以下は想定最大規模の降雨の時の比較図(県の河川工事なし)です。
想定最大規模の雨が降れば浸水深はマックスとなり、事業の前後で下流域での浸水深に差は出なかったのでしょう(グレーの部分)。
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