工事はいつ始まるのか。市民以上に気をもんでいるのは、業務代行業者として組合からこの事業を請け負っている(株)フジタだ。
1月の県の都市計画審議会で、まさか事業にダメ出しされると思っていなかったフジタは、3月着工予定で盛り土の手配などを済ませていた(5月に当会が問い合わせた時の回答)。ところがシミュレーションのために着工は延期に。そして5月に再び工事延期。
シミュレーションの趣旨からいえば、計画が安全と証明されなければ現計画は見直されるはずだが、実際は「安全」という結果が出ることを前提に、フジタはいつでも着工できる態勢を整えている。
企業としては当然のことかもしれないが、安全を願う市民にとっては非常に危険な状態だ。説明会が終わった翌日から、盛り土の搬入が行われる可能性すらあり、シミュレーションの結果に意見をする時間などない。
<イラ立つフジタ>
当会からの計画変更を求める要望書は、組合だけでなく、フジタにとってもうざったかったようだ。そのため、当会の要望書に回答したあとの7月末、
「8月中に着工を。市民が文句言ったって、どうせ『流域治水の会 船橋』なんて、訴えたりなんかできっこない」
と組合と市に求めたという情報が入ってきた。8月開始もさることながら、当会もずいぶんと舐められたものである。(要望書は組合に出したものだが、組合事務局はフジタが務めているため、組合とフジタは一蓮托生である。また上記情報源は明かすことができない)。
理由は、「今着工しないと令和8年の医療センター開院と新駅のオープンに間に合わないから」というもの。いつまでたっても結果が出ないシミュレーションと市民の動きに、イラ立っていることがわかる。
問題はこのフジタの動きに、組合と市がどう対応したかである。組合事務局=フジタのため、確認を諦めて市に問い合わせたところ、
「フジタの動きは承知していないが、もしシミュレーションの結果が8月に出れば、8月中に市民説明会を開く可能性はある」とのこと。
結果が出たらすぐに説明会、ということは、シミュレーションの結果は「安全」であることが予想され、看過できない。日程的にまた前回のように数日前に広報ふなばしで告知、市民が納得しようがしまいが、即工事開始を考えているのではないだろうか。
問題は県の動きだが、市の話からは県と連絡を取っている様子はうかがえるものの、県の意向は確認できない。
危険と思っていても、県は事業を認可した張本人。自分たちのメンツがつぶれるようなことは決してしないだろう。まだ本当に実行できるかわかっていない海老川調節池の暫定供用をシミュレーションの条件に入れてきたことからも(→ 活動レポート「県に計画の変更を求めています」)、現計画のまま事業を進めたいのが本音ではないだろうか。
フジタはそんな行政の動きを見透かして、揺さぶりをかけてきたに違いない。こんなことを許しているようでは、市民の安全は図れない。市はしっかりと組合とフジタを管理し、次の市民説明会には、県と組合、フジタを呼んで説明をさせるべきである。
そして何よりも大事なのは、シミュレーションの結果を改ざん・隠ぺいしないこと。そして工事によりどれくらいの遊水機能が失われるか検証することである(県の都市計画審議会では、それを計算するように意見されたのに、なぜかハザードマップを比較する話にすり替えられている)。
市も県も海老川上流地区の地権者やフジタの利益を優先するのではなく、海老川下流域15万人が被災する危険性に目を向けるべきである。(M)
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