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問われる市の姿勢。市民の声をなぜ聞かないのか【前編】



請願書で求めたもの


 2月15日と21日、市長にあてて出した請願書2通で求めたものは、全部で3つある。

 

第195回千葉県都市計画審議会では採択にあたり、以下の付帯決議がついた。市はこれに従い、海老川上流土地区画整理事業の治水上の安全性について科学的な検証を行い、住民の納得が得られるまで、メディカルタウン構想および海老川上流地区の開発を行わないこと


「土地区画整理事業による海老川流域の治水への影響に関する検討を続け、住民に対し御理解いただけるよう、丁寧に説明を重ねること」


令和3年10月1日~15日に行われた「船橋都市計画事業 海老川上流地区土地区画整理事業 事業計画書」の縦覧および意見書の提出は、都市計画決定告示前に行われたものであるため、無効である。都市計画決定告示後、法に則った手続きを行うこと


土地区画整理法20条に則り、すべての利害関係者からの意見書を受け付けること。昨年10月に行われたとされる縦覧手続きは、利害関係者からの意見書を受け付けておらず、土地区画整理法20条に則っていない。利害関係者にはこの事業で影響を受ける海老川下流域の住民などがふくまれることは明らかである

 

 安全性の検証をすることを除き、全て「市民の意見をちゃんと聞きなさい」「その合意が得られるまで事業を始めてはいけない」ということである。



法律に従って手続きを


 ②③についてはちょっと難しいので解説したい。都市計画が実行されるまでには、法律で何度も市民が意見を言う機会が保証されている。行政による一方的な計画にならないために、計画をブラッシュアップするために、不利益を被る人が出ないために、がその目的である。


 市はこれまで令和2年12月末に公聴会、令和3年7月に事業案の縦覧(一般公開)及び意見書の提出の機会を設けてきたが、公聴会の開催を知る人はほとんどおらず、出席者は10人に満たなかったという。また水害に関する質疑は皆無だったとも聞いた。


 一方7月の意見書は66通も出され、洪水など、水に関する懸念や、洪水の説明会開催を要望するものが多かった(市民が提出した事業への意見書、参照)。市民の皆さんの見識は驚くばかりで、船橋という町のもつポテンシャルの高さを感じたが、しかし市はこれらの意見をまったく受け入れなかった。


 そして市が設定した最後の機会が、昨年10月に行われた事業計画書の縦覧と意見書の提出だった。法律では事業によって影響を受ける利害関係者(下流域の住民、周辺で商売をしている人、漁業従事者など)も意見書が出せるとしているが、この時、市は地権者にしか意見書を出させなかった。


 つまり市民からの問い合わせに、「意見書が出せるのは地権者だけです」という虚偽の説明をしたのだ。実際に当時そう言われた市民がいるし、筆者自身も、今年2月のことではあるが、事業計画書を情報公開請求するとき都市政策課の係長にそう言われた。

 しかし今市は「そういう説明はしていない」と手のひらを返す。


 では本当に市には地権者以外の意見を聞く気があったのか。正直に言って疑わしいと思っている。なぜなら事業計画書の縦覧と意見書の提出の通知は、事業を行う組合(地権者、不動産業者など)には出されているが、事業地周辺の自治体や漁協などには一切出されていないからだ(文末参照)。


 そこで当会は市に、「都市計画決定告示後、法に則り、(最終決定した)事業計画書を縦覧させ、利害関係者に意見書提出の機会を作ること」という請願を出したのである。


 船橋市でも他の自治体でも、縦覧を繰り返し、事業内容をブラッシュアップするのは普通のことで、最後の意見書を受け付けてから最終決定までに1年以上かける場合がほとんどだからだ。都市計画とはそれだけ丁寧に立てられるものであり、市民の声を反映させるものである。





** 船橋市長から事業を行う組合に対して出された事業計画の縦覧(閲覧)通知



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