top of page
  • ryuikichisui

問われる市の姿勢。市民の声をなぜ聞かないのか【後編】

更新日:2022年3月31日





異例のスピードで行われた、組合絡みの書類審査


 都市計画は市民の意見を入れながら、時間をかけて練り上げていくものだ。事業によって不利益を被る人が出ないためにも、法律は市民が意見書を出す機会を保証している。


 しかし市は、それを周知する最大限の努力をしなかった。これほど「市にとって重要な事業だ」と市長が繰り返す割には、事業計画書の縦覧告知は広報ふなばしでわずか5行で行われたにすぎず、事業計画書のタイトルも実際に縦覧させたものと違うというお粗末ぶり。


「ふつう重要な都市計画の事業計画書の縦覧は、宣伝を兼ねて大々的に告知するものですけどね」とある新聞記者が言ったが、上記は真逆である。


 さらに不審に思うのは、この縦覧に先だって組合設立準備会が出した大量の申請書類の審査が、異例の速さで行われたことだ。本来なら何カ月もかけて行わなければならないところ、市はわずか5日(令和3年9月16日~21日)で済ませたのだ。


 今開かれている令和4年第1回定例会(市議会のこと)では、今仲きい子議員が、これについて厳しく市を追及した。


「たとえば(組合を構成する)200人もの権利者たちが出してきた膨大な量の同意書に不正はないのか(亡くなった人の印鑑を使っていないか、そもそも同意書を出す資格がある者かなど)、事業計画書や借地権の調査、警察への照会など、必要な調査をきちんと行ったのか」(抜粋)


 これに対し、都市計画部長は「必要な手続きは行った」と平然と答えた。わずか5日で。神業である。

 今議会では岩井友子議員も市の手続きの不審点の数々を追及しているので、詳しくは中継録画をご覧いただきたい。



市長に問う。あなたは本当に市民のことを考えているのか


 いずれにせよ市は昨年9月16日~10月15日の1か月間に、組合設立準備会絡みの審査を異例の速さで済ませ、間髪を入れずに事業計画書を縦覧し、地権者からの意見書のみ受け付け、それをもって必要な手続きはすべて終わったとしたのだ。


 そして去る3月4日、県の都市計画決定の告示がなされると同時に、組合設立を認可した。簡単に言えば、これで組合と業務代行予定者のフジタは、自分たちの望むとおりの計画を明日にでも始めることができるのだ。


 しかし事業開始は5月末ごろまで延期されることになった。県の都市計画審議会でついた付帯決議に従うことを、市が決めたからだ。「安全性の検証をし、市民説明会を行うまで事業を開始しないよう、組合に申し入れた」と都市計画部長(議会答弁)。


 ホッとする話ではあるが、注意しなければならないのは、それは私たちが請願した「住民の納得が得られるまで事業を行わない」というものではないこと。また市民の意見を入れて事業計画を練り直すためのものでもない。


 いったい市はこの事業に限り、なぜそんなに市民の声を無視するのだろう。海老川下流域だけで約15万人もいる市民の権利を、無視する理由がまったくわからない。


 市長に問いたい。あなたはなぜ組合のほうしか見ていないのか。洪水という人の命と財産にかかわる問題を提起されているのに、不安に思っている市民がたくさんいるのに、なぜ市民の声に耳を傾けないのか。あなたは本当に市民のことを考えているのか。



「安全性の検証」の中身


 現在開催中の市議会で、浦田秀夫議員がどんな安全性のシュミレーション(検証)をするのか、市に問うた。都市計画部長の回答は以下である。


●年超過確率1/1000の降雨の際(9時間516ミリ)、海老川流域の浸水想定区域が土地区画整理事業で実施する調整池、河川工事、盛り土によってどのような影響を受けるかシュミレーションする。


●県がつくった想定最大降雨における「海老川水系 海老川洪水、浸水想定区域図」は、市のハザードマップに使われているもの。この図を作ったデータを用いて、土地区画整理事業が実施する調整池や河川工事、盛り土を反映させ、シュミレーションをする。


●県が作成した計画規模の降雨(年超過確率1/50。海老川水系の場合、9時間221ミリ)

による浸水想定区域図についても実施する。


 これを見て、あなたはどう思うだろうか。

「私たちは一生懸命対策しますが、こんなにすごい雨が降ったら、どっちみち洪水になりますよね、という答えしか出てこないのではないか」

「降雨という保水機能のシュミレーションばかり。洪水対策で重要な遊水機能については調査しないのか」

 と懸念を示した人もいる。


 私たちは今の計画で洪水が起きないとする根拠を示してほしいのだ。そうでなければまったく安心できないし、納得もできない。


 当会ではこちらが知りたい検証ポイントを提示し、それについても検証するよう求めていく。

 もうこれ以上市民の意見を無視することは許されない。(M)

閲覧数:151回

最新記事

すべて表示
bottom of page