5/21と22日、メディカルタウン構想の治水への影響に関する市の説明会が初めて開かれました。メディカルタウン構想について実質的に初めて市民が直接質問できる貴重な機会でした。これまで市民への説明会を拒否してきた姿勢からの転換は評価できます。二日間で計六回の説明会は、体力的にも大変だったことでしょう。
この方針転換を評価する一方で、説明会は形ばかりのもので、市は今でも計画を変更する気はないのではないかという疑問が残ります。その理由を説明します。
<しなくてはならなくなった説明会>
何度もお伝えしているように、市は今年1/18の千葉県の都市計画審議会で「安全性の検証」と「住民への説明」を行っていないと厳しく批判され、両者を行うようにという付帯意見を付けられました。(195回 都市計画審議会議事録 および 付帯決議)
また当会から「浸水被害を被る可能性のある流域の住民の同意を得ずに事業を進めることは、流域住民の財産権の侵害であり憲法違反」と指摘されました。(「5/13 ビッグニュースが続いた日」)
この二つにより、市は説明会を行わなければ事業を始められない事態に陥ったのです。
<工事開始は6月と決まっていた?>
今回の説明会の本来の目的は、付帯決議を受けて市が行った安全性に関するシミュレーション(模擬解析)の結果を説明することでした。けれども県の提案で急遽シミュレーションをやり直すことになったため、市は説明会をキャンセルしてもよかったはずです。それでも予定通り行ったのは、5月中に工事開始の条件を整えるためだったと思われます。
実は市は、この事業の主体である組合注と、遅くとも6月には工事を始めることで合意していたようです。今回の説明会でも市は「5月中に安全性の検証と説明会を行うように組合から言われている」と述べており、一部の地権者は当会に6月には工事を始めると言っていました。ですから組合がいつでも工事を始められるように、市はどうしても5月中に説明会をする必要があったのです。
<形だけの「安全性の検証」と「説明会」>
計画変更をする気はない
このように市は、今回のシミュレーションの結果が出る前から組合と早期の工事開始を決めていただけでなく、2月には市議会に原案通りの予算案も提出していました。このことから、市は県に付帯意見を付けられてもなお、これまでの計画を変える気がなかったことがわかります。
ですからシミュレーションの結果が間違いなく「安全」となることも予想できました。そうでなければ計画を修正、あるいは作り直さなければならないからです。実際に当会は担当課から「変な数値が出たので、シミュレーションのやり直しを(外注先の会社に)させている」と聞きました。
今回やり直すシミュレーションも、「安全性の検証」とは名ばかりのものになる恐れがあります。
何のための説明会か
説明会はやりさえすればよいものではありません。市の言い分を一方的に説明し、住民の懸念を単に「聞きおく」ためのものではないはずです。市は説明会での対話を通して住民の懸念と計画の問題点を洗い出し、それを解消する計画に進化させていく責任があります。それが住民の理解を得るためのプロセスでしょう。計画変更をする気がない中での説明会は、単に付帯決議を守る、あるいは違法性を回避するためのアリバイ作りと言われても仕方ありません。
計画を練り直すには時間がかかります。組合は市を訴えるかもしれません。それでも適正なプロセスを踏んで安全な計画をつくるべきです。被災者を出しては絶対にいけないのです。
(A)
注)
市がメディカルタウン構想として推進してきた事業は、実は市による公共事業ではなく、予定地の地権者で作る組合がデベロッパーを使って行う民間の事業です。市は市税を投入して新駅と新医療センター、道路などを建設し、これを支援する形です。ただ、組合が工事を始めるためには、市が安全性の検証と説明会をしなければならないことは、組合も理解しています。
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