次の図は検証を行ったコンサルタント会社の分析コメントが入った浸水深の増減図です(県の2つの河川工事を行った結果の図。情報公開請求で入手)。図のオレンジ色の部分は「事業前」より浸水深が深くなった所、青い部分は浅くなった所。2022年8月19~21日に市が行った市民説明会では、このコメントなしの図だけが示されました。
1. 盛り土によって海老川上流部の被害が拡大
県の河川工事をしてもなお、浸水深が増えるエリアがあること。またその原因は事業による盛り土や市街化であると、コンサルタント会社が分析しています。海老川上流地区という遊水地を埋め立てると洪水のリスクが高まるということが、この図からも明らかです。また県の河川工事がいつ終わるかわからないため、海老川下流域も決して安全ではありません。
2. 被害がひどくなるエリアの住民を放置
県の河川工事をしてもなお、浸水被害がひどくなることがわかったのは夏見、東町、米が崎、飯山満町などの一部地域。市は結果説明会で「浸水深が増加しているエリアがあるので、組合と協議を続ける」と述べていましたが、令和5年(2023年)7月時点で、その住民に市と組合は何の説明も補償もせずに工事を強行しています。
明治学院大学の熊本一規名誉教授は、「告知なしに浸水深を増加させたなら、財産権の侵害にあたり、憲法違反である」という意見書を市と県と組合(地権者達とフジタ)に出しています。法的な問題を知らないはずはありません。
(1)疑惑の検証条件の変更、(2)シミュレーションの手法は適切か、で見てきたように、市はさまざまな無理を重ねて、遊水地を埋め立てることによる洪水リスクの増加を否定するシミュレーション結果を出そうとしたように見えます。
以来市は、その問題だらけのシミュレーション結果を事業の正当化に使っていますが、その際には「事業をすることで海老川下流域での浸水深は概ね減少する」とまで言っています。繰り返しますが、浸水深が減るのは県の河川工事を加味した結果です。
あたかも「事業をすることで浸水深が減る」かのような説明を続けていること自体、市民を欺く行為です。事業によって被害がひどくなるエリアの住民を放置していることと合わせ、行政として許されることではないと考えます。
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